​写真談話室もとはし 基礎講座 <Basics and Philosophy>

1 まずは写真を撮りましょう

1c 好きなもの、愛するものを撮りましょう

⚫人は愛するゆえに写真を撮るもの。愛するものを撮った写真は、つまらない写真には成り得ない。

⚫いいな、と思った瞬間を信じよう。たくさんシャッターを切り、センサーを鋭くしていこう。

⚫「いいな」の瞬間をキャッチするセンサーを鋭くしてくれることが、カメラという機械の最も優れた機能である

写真とは "被写体への愛" である

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張り切ってカメラを買ってみて……意外に多い声が「何を撮ったらいいかわからない」というものです。

いや、冗談のようですが、そういう人はけっこう多いのです。写真を趣味にしていこう、と心機一転、大枚をはたいてカメラを購入した人ほど、その「特別感」に圧倒されてしまって、何か特別な被写体にこそカメラを向けるべき、というような思い込みに陥ってしまうんですね。

でも、そんな気持ちも少しわかります。ルパン三世に出てくる石川五エ門が「つまらないものを斬ってしまった」とつぶやきますが、つい撮ってしまった写真が自分で面白くもなんともない、と思えるとき「つまらないものを撮ってしまった」と嘆きたくもなりますよね。そして自分にはセンスがないのかも、としばらく落ち込んだりして。

そんな経験、実はワタシにもあります。

では、つまらないものを撮ってしまわないために……なぜ人は写真を撮るのか、そんなことを考えてみました。そしてすぐにひとつの結論に達したのです。それは

「人は愛するゆえに写真に撮る」

 

という結論です。

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もちろん、家族などはその最たるものですね。愛情があるからこそ、ついお子さんの写真をたくさん撮ってしまう、彼女の写真をたくさんため込んでしまう、家のワンちゃん猫ちゃんの写真を毎日撮っても飽きることがない、など。

愛する家族ゆえに、写真を撮ってしまうわけです。

そこまでいかなくても、お花が好きな人はやっぱり花の写真を撮りますよね。クルマが大好きな人だったらやはりクルマを撮るのが一番楽しいのではないでしょうか。風景写真を撮る人だって、素晴らしい風景に感動してシャッターを切るときには、感謝とともに愛情があるはずです。

写真を撮るということは、愛情表現でもあるのです。

ああ、いいなと思った瞬間を信じる

愛情、なんて言ってしまうとちょっと大げさに感じるかもしれませんね。では、突き詰めればそうなるかもしれない、ちょっとした好感、いいなと思う気持ちはどうでしょう?それもポジティブな心の動きとして、愛情の始まりのくくりに入れてもいいのではないでしょうか。

それは、人や動物などの生き物のみならず、見慣れた街並みが夕陽に照らされた瞬間かもしれないし、ちょっとした偶然が生み出したユーモラスな風景かもしれません。足元の小さな花を拡大したときの驚きかもしれませんし、遠くの梢の上にいる、ちょっとした野鳥を望遠レンズで拡大した瞬間かもしれません。

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普段は見逃していた、なにげない瞬間に「あ、いいな」と思ったら、その感覚を信じて写真を撮ってみてください。それによって、どんどん「いいな」をキャッチする感覚が研ぎ澄まされていきます。

最終的には自分でも知らなかった自分の個性が見えてくることもあるのです。

カメラは心のセンサーを鋭くしてくれる

結局、「つまらない写真を撮ってしまった」となってしまうのは、「いいな」の感覚が研ぎ澄まされていないからなのです。

人から凄いと言われたい、とか、こんな写真を撮ったらウケるだろうな、「イイネ」がたくさんもらえるかも、とか、そんなことではなく、純粋に自分の中の「いいな」と思う感覚を追い求めてみてください。

そのためには、心をオープンにしておくことが大切ですし、常にカメラを持ち歩いていることももちろん大切です。他人の撮った優れた写真をプロアマ問わず多く見て、好きな写真のイメージを自分の中にストックすることも大切ですよね。

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結果として、その感覚はあなたという人間を新しく、豊かなものにしてくれます。

 

それこそが、写真を人生の伴侶とすることの最も大切な成果なのだと思います。

カメラという機械のおかげで、そうした瞬間の写真を残すことができますが、本当はそうした良き瞬間をキャッチする心のセンサーを鋭くしてくれることこそ、カメラという機械の最も優れた機能ではないかと思うのです。