​写真談話室もとはし 基礎講座 〈Basics and Philosophy〉

1 まずは写真を撮りましょう

1a やはり初心は忘れるべからず

●初めてカメラを手にした、そのときの初心を覚えておこう。

●写真家というのは孤独なものです。自分自身を奮い立たせるのは、あなたの大切な「初心」。

●マンネリを感じても、工夫次第でいくらでも新鮮さを取り戻すことができる。

●新鮮な初心を失わないこと、それが最高の写真上達の秘訣。

写真家の「初心」

あなたはいま、カメラを手にしていますか?

それはきっと、思いきってお金を払って手に入れた、お気に入りの1台なのだと思います。

新しいカメラを手にしたとき、手のひらに感じるその重み、シャッターやレンズから感じる精密機械を持っているという実感、ファインダーを覗いたときの目に入る世界など、全てが新鮮です。

いつまでもカメラを手にしていたいと思うし、電源を入れてメニュー設定などカスタマイズして、自分だけの1台に仕上げようと思うかもしれません。

新しいその 「相棒」と、どんな素晴らしい写真生活が待っているのか、わくわくする気持ちが抑えられないあなたは、一刻も早く部屋を飛び出して、外の世界で写真を撮りたくなっているのではないでしょうか。

その気持ちこそ、私たちが忘れたくない「写真家の初心」です。

写真を撮る時、一番大切なのは、そのワクワクする初心なのです。

あなたもしばらくすると、カメラの操作にも慣れ、カメラを持っている自分、カメラを構えて写真を撮っている自分にも新鮮味を感じなくなるかもしれません。

いつまでもドキドキ、おどおどしていたらいい写真は撮れません。しかし写真を撮ることがルーティンワークのようになってしまっても、それもまたいい写真は望めないのではないでしょうか。

写真家というのは、ともすれば孤独なものです。

写真を撮るという行為はどこまでも個人的なものですし、誰かと分かち合って作品を作り上げるのもなかなか難しいものです。

写真の道を志した瞬間から、その人はとことん自分自身と向き合うことを余儀なくされるわけです。

だからこそ、自分自身を奮い立たせるため、自分自身のケツを上げるための「初心」をいつまで持ち続けることができるか、そこがひとつの勝負なのです。

「才能」なんてものに定義があるとすれば、それはいつまでも初心者のころのワクワクする気持ちを持ち続けられる人、なのかもしれませんね。

もしあなたが現在初心者なら、今のその新鮮な気持ちをぜひ忘れないようにしてください。

新鮮さを保つために

とはいえ、人間というのは飽きっぽい生き物です。物事に慣れていくのと同時進行で、新鮮さというのは薄れていくもので、これはもうどうしようもない自然の摂理かもしれません。

そんな「マンネリ化」をいかにして防ぐか。それぞれの写真家がそれぞれの方法でマンネリ化と戦っています。たとえば、新しい機材を買うのもひとつの方法です。新しいレンズを買えば、写真家は新しい視点を獲得するわけですから、これはもう最強の「脱・マンネリ」ですね。

ただし、無限にお金の出てくる財布を持ってる人はいません。ちょっとマンネリを感じたからと言ってそうそうすぐにレンズを買える人も少ないですよね。

しかし、新しいレンズじゃなくてもレンズの「使い方」でマンネリを防ぐことはできます。たとえば、その日の撮影に「レンズ縛り」を自分に課すのです。今日はこのレンズしか使わない、と自分で決めて、その画角の中で自分自身で工夫して撮影してみる、なんてことをワタシもよくやります。

もしくは、いつもと違う被写体に挑んでみるのもいい方法です。いつも風景写真を撮ってる人なら、今日は街に出てストリートスナップをやってみよう、と決めてみる。家族のポートレートなどを撮ってる人なら、今日は自然の中で動植物のマクロ撮影を狙ってみる、などです。

様々な写真のジャンルには、それぞれに深いノウハウの世界があり、新しい分野にチャレンジすることを恐れなければ、そう簡単にマンネリになるほど写真の世界は甘いものではないのです。

最近カメラを手にしたばかりの初心者の方にはまだまだ先の話かもしれませんが、とにかくいつも新鮮な気持ちでカメラを向き合っていただきたいと思います。それこそが、誰よりも早く写真が上達する秘訣なのかもしれないとワタシは思うのです。