​写真談話室もとはし 基礎講座 <Basics and Philosophy>

1 まずは写真を撮りましょう

1b カメラの構え方を覚えましょう

⚫きちんと構えることが大切!

⚫両足を前後に開き、踵をしっかり地面に付けて、重心を低く。

⚫左手はしっかり下からカメラを支える。

⚫額は第3のグリップ。

⚫ファインダーがないカメラはストラップを活用。

​⚫レリーズボタンはそっと「落とす」。

「きちんと構える」大切さ

さて、外に飛びだしたあなたは、心の赴くままに写真を撮っていると思います……が、ちょっと待ってください。

シャッターを切る前に、ひとつ大切なことがあるんです。

それは「カメラをきちんと構えること」です。

もちろん、ただ自然に持ってシャッターを切れば、写真は撮れます。それは当たり前ですが、失敗を未然に防ぎ、写真の「歩留まり」を上げるためには、手ブレ、身体ブレを防止する正しい構え方をすることが欠かせないのです。

逆に言えば、正しい構え方をすれば、手ブレ、身体ブレはほぼ防止できるのです。

ファインダーのあるカメラの場合

では、僭越ながらワタシがモデルを務めまして(笑)カメラの構え方の一例をご覧いただきます。

目指すべきは、まず身体を安定させ、そしてカメラを安定させることです。

そのために、まず自分の身体を安定させることが重要です。立って撮るときの両足のスタンスは、左右に開くのではなく前後になっているのが望ましいですね。

そして左右の踵をしっかりと地面に付けて身体の重心をぐっと低くしてください。自分の意識を下半身に持っていくようなイメージです。

低い位置から撮る時も、両足を左右に開いてしゃがんだような姿勢では前後の安定感に欠けます。なるべくなら、足を前後に開いた膝立ちの姿勢で、片膝を地面について安定した姿勢をとることを心がけてください。

膝が汚れるくらいがカメラマンの勲章です(笑)。

上体の様子をアップで。 ここで注意していただきたいのは、左手です。右手は当然、カメラをホールドしてレリーズボタンを押す役目があるわけですが、左手もとても重要です。

左手は肘をぐっと身体に点けて、下からカメラを支える強力な台になってもらうのです。

腕だけでカメラを支えるのではなく、胴体と一体化させて下からカメラの重さを支えるのが左手の役割です。これは、レンズが大きく重くなるほど重要な役割になっていきます。そうすることで、右手をレリーズボタンだけに集中させることができると同時に、手ブレを防ぐことができるのです。

ここで大きな100-400mmレンズに付け替えてみましょう。

大きく重いレンズになっても、左右の腕の形は全く変わっていないことがおわかりいただけると思います。

これだけ大きなレンズになると、レンズとカメラの重さをほぼ左手だけで支えるような形になります。それだけに左手の形は重要です。脇をグッと引き絞って、肘を胸にくっつけるようなイメージで土台を作ってください。

右手、左手の構え方はおわかりいただけたと思いますが、ファインダーを覗く式のカメラの場合、もうひとつ、重要なグリップポイントがあります。

 

それは、「額」です。正確には、目の上の骨のひさしの部分ですね。

眉毛の生えている部分、と言った方が正しいでしょうか。

ここに、カメラのファインダーの窓の四角の上辺をぐっと押し当てることで、第3のグリップとするのです。

一眼レフなど、ファインダーを覗く方式のカメラが安定する理由のひとつが、この第3のグリップができることにあります。

 

なので、ワタシは撮影するときは眼鏡を外しています。

​背面液晶式カメラの場合

しかし、背面液晶式のコンパクトデジカメやミラーレスカメラの場合、ファインダーがないため、第3のグリップは使えません。

したがって、右手と左手のグリップをしっかりと基本通りに固めるしか手はないのですが、裏技的な手段としてネックストラップを上手く使う方法があります。

写真のように、ネックストラップをピンと張ってカメラを安定させるやり方です。この方法はかなり有効で、両手だけでホールドしたときより、目に見えて画像が安定します。

ファインダーを覗かない背面液晶式の場合、その分手ブレしやすいカメラであることを肝に銘じることが大事です。なので、普段以上にしっかりと構えて手ブレを防ぐ心がけが必要なのです。

​ちなみにスマートフォンの場合

スマホで写真を撮るときも、基本は同じです。しっかりと左手にカメラを乗せて、右手でシャッターを切ります。

よく見られるのが、本体の縁を両手で掴むような持ち方ですが、スマートフォンのレンズ部分以外の背面は撮影に関係ありませんから、気にせずしっかりグリップしてください。

スマホはレンズがどこにあるか機種によっても違いますし、なかなか意識しづらいものです。自分のスマホのレンズはどこにあるのか、それをしっかり理解してグリップしないと、レンズを指でふさいだような失敗写真になりがちです。

グリップの次に注意すべきこと

しっかりグリップできたら、次に注意すべきはレリーズボタンの押し方です。

レリーズボタンを「押す」と書きましたが、実は意識としては「押す」ではなく「落とす」くらいがちょうどいいと思います。

シャッターを押す、と思っていると、必要以上に力が入って、カメラを下に動かしてしまう原因になります。ましてシャッターチャンスともなると「いまだっ!」とリキんでしまいますよね。

射撃の世界では、引金は「引く」ものではなく「そっと絞る」ものだと教えられるそうです。これも、いざというときのブレを防ぐための心がけです。

写真と射撃、どちらも“Shoot”すると表現されるように、その感覚には共通点が多いものです。ただ、レリーズボタンと引金ではベクトルが違いますから(レリーズボタンは上下、引金は前後)表現は微妙に異なりますが、目指す感覚は同じと思っていいでしょう。

ここぞという瞬間には、そっと引金を絞るように、レリーズボタンを落としてみてください。これも手ブレを防ぐ大切なポイントです。