写真談話室もとはし 基礎講座 <Basics and Philosophy>

1 まずは写真を撮ってみましょう

1e 50mm単焦点レンズを買ってみましょう

⚫標準ズームレンズの次は、50mm相当単焦点レンズを買おう。

⚫「標準画角」から始めて画角の感覚を身に付けよう。

⚫絞り優先モードを駆使してまず絞りのコントロールを身に付けよう。

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右から、Nikon AF-S NIKKOR 50mmF1.4G、Nikon Ai NIKKOR 55mmF1.2、Leica M-Summicron5cmF2、FUJIFILM X100V+FUJINON TCL-X100II 

比較的安価な入門レンズ

みなさんがカメラを購入すると、まずはズームレンズが付いてくると思います。また、コンパクトデジタルカメラの場合でも付属のレンズはズームレンズであることがほとんどです。

ズームリングを回せば簡単に画角が変えられるズームレンズは便利ですし、ズームすることでまず撮影の楽しさを簡単に味わえるものでもあります。

ただ、そこからもう一歩進んで、本格的にカメラを楽しもうと思ったときに、あれ?何か違うな、と思ってしまうのではないでしょうか。

なぜなら、みなさんがイメージする「一眼レフっぽい写真」は、カメラに付属してくる「キットズームレンズ」では撮れないからです。

 

一般的にイメージする「一眼レフっぽい写真」とは、被写体の背景などがふわっとボケた写真なのではないでしょうか。

スマホでは撮れないそんな写真にあこがれて一眼レフカメラを買ったのに、付属のズームレンズではなぜかそんなふうに撮れません。それはなぜか。

 

安価なズームレンズはF値が暗く、背景などをボカして楽しむことが難しいからです。

もちろん、ズームレンズでボケを楽しむことのできるものもありますが、そういったレンズは大変高価な「プロ向けレンズ」となっているので、そう簡単に入手できるものではありません。

 

そこで、「単焦点レンズ」の出番です。

プロ向けズームレンズに比べて、単焦点レンズは安価で、しかもさらに大きなボケを楽しむことのできるレンズが多いのです。

しかも、「標準画角」の50mm相当のレンズでは各社安価なレンズが多く、まさに入門用の単焦点レンズとしてはピッタリなのです。

「換算50mm」レンズ

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Voightlander NOKTON Classic SC 35mmF1.4 (APS-Cボディで換算50mm)

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FUJIFILM FUJINON XF35mmF1.4R  (APS-Cボディで換算50mm)

上の写真は富士フイルムXシリーズの標準単焦点レンズ ”XF35mmF1.4R” です。

解放F値が1.4と明るく、大きなボケが楽しめると同時に比較的安価なレンズです。ワタシも大好きで毎日愛用しておりました(F値のしくみ、考え方は2章で詳しく取り上げます)。

さて、50mmレンズ、と言っておきながらなぜ35mm?と思っている方もいるかもしれません。これは各社カメラのセンサーサイズが違うことから来ているもので、フルサイズセンサー用50mmレンズで撮影した写真と同じ範囲を写すことのできるレンズが、富士フイルムXシリーズのAPS-Cセンサー用レンズの場合、35mmであるためです。

 

難しい理屈はとりあえず置いておきまして(笑)、こういったレンズの比較用語として、「フルサイズ換算」という言い方をすることを覚えておいてください。APS-Cセンサー用のレンズの場合は「約1.5倍」、マイクロフォーサースセンサー用レンズの場合は「約2倍」するのがフルサイズ換算、となります。

したがって、富士フイルムXシリーズ用の場合は、50mmに相当するのが35mm、マイクロフォーサースの場合は50mm相当が25mm、となるのです。

焦点距離の数字こそ違いますが、センサーサイズの違いにも関わらず、各メーカーの 「標準画角」は換算50mm相当、としている場合がほとんどです。35mmフルサイズセンサー以外のセンサーを利用しているユーザーとしては、実画角の数字と同時に、そのレンズの 「換算画角」の数字も覚えておく、もしくは素早く計算する(笑)必要があります。若干面倒ではありますけどね。

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FUJIFILM FUJINON XF35mmF1.4R  (F2.8  1/500  ISO320)

標準画角、のわけ

安くて明るい(ボケの大きい)レンズ、それが換算50mm相当の単焦点レンズなわけですが、お勧めするのはそれだけが理由ではありません。

「レンズは50mmに始まり50mmに終わる」なんて古い格言もありますが、50mm相当の画角というのは、「最もヒトの視界に近い画角」と言われているのです。

カメラを構える前に裸眼で見て、「あ、この瞬間を撮りたい」と思ったときに、換算50mmのレンズを付けたカメラなら、次の瞬間カメラを構えてファインダーを見ても、見た目上ほぼ変わらないというわけです。なので、50mmが標準画角、と言われているのです(もちろん、厳密には全く同じというわけではありません。35mmくらいから50mmくらいまで、諸説ありますし個人によっても違います)。

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Leica M-Summicron 5cmF2

見た目に近い見え方のレンズを使うことで得られる利点はもうひとつあります。

それは、「画角の感覚が身に付く」ことです。

カメラを構える前から自分の撮りたい範囲の画角がわかれば、次の瞬間カメラを構えてすぐ撮影することができます。そこからズームレンズを動かして画角を探っていたら、時間がかかりすぎてその景色は変わってしまうかもしれないのです。

画角の感覚を身に付けることは、ワンランク上の写真技術を身に付ける上で欠かせないステップなのです。そのためにも、まず50mm相当の標準画角の感覚を身に付けましょう。

絞り優先オートから始める

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上の写真はXF35mmF1.4Rを使ってカフェのテーブルを撮った写真です。自分のコーヒーカップを手前ボケに、アルコールランプにフォーカスを合わせ、向こう側の人物を後ろボケにしています。ほんの1メートルほどの奥行きの風景ですが、ここまでボケるのが明るい単焦点レンズの魅力です。

 

このようなボケの大きな写真を撮影するには、絞りをコントロールすることを覚えることが必要です。この写真の場合は、F2.8で撮影しています。

絞りのしくみ、原理については第2章で詳しくお話しますが、まずは難しい理屈は抜きにして、カメラを「絞り優先オート」モードに設定、絞りをいろいろ動かしてみましょう。モード切り替えダイヤルの“A” もしくは”Av” が絞り優先モードです。もちろんレンズによって変わりますが、標準単焦点レンズなら、だいたいF1.4からF22くらいまでの広い範囲で絞りを調整できます。

 

絞りをいじってみることで写真がどう変化するか、標準単焦点レンズを購入することで、一歩進んだカメラのコントロールを学ぶことができるのです。